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 生体電磁環境研究推進委員会報告書に係る質問状


 新東京タワー(すみだタワー)を考える会は2007年9月4日、各団体との共同により、「生体電磁環境研究推進委員会報告書に係る質問状」を上野委員長あてに送付しました。


2007年9月4日

九州大学大学院工学研究院特任教授
総務省生体電磁環境研究推進委員会委員長
上野 照剛 様

生体電磁環境研究推進委員会報告書に係る質問状

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
私たちは、電磁波による健康影響について、市民も関与して検討された予防原則に基づく対策が講じられるよう求めている市民団体・消費者団体です。
上野先生が委員長を務められてきた総務省の「生体電磁環境研究推進委員会」(以下、「本委員会」といいます)が2007年4月27日付で「生体電磁環境研究推進委員会報告書」(以下、「本報告書」といいます)を公表されました。
本報告書は、私たち市民の健康や生活に直接関わる重要なものであると認識いたしております。また、電磁波に係るリスクコミュニケーションの推進は、本委員会の重要な目的の一つでもあると理解いたしておりますので、下記の通り質問させていただきます。
お忙しいところ、誠に申し訳ございませんが、10月3日までに文書にてご回答いただきたく、お願い申し上げます。
なお、本質問状およびご回答は、賛同団体のウェブサイトへの掲載や、その他のメディアによる発表するなど、公開させていただきたく存じます。
よろしくおねがいいたします。

敬具

 1.本報告書には「本委員会では(略)公正かつ中立的に研究を実施し」た(5頁)、「生体電磁環境研究推進委員会は、(略)10年間にわたり、生物・医学実験を行ってきた。この研究プロジェクトは(略)公正かつ中立的に進められた」(217頁)と記載され、また、「ここで実施した研究は、工学を専門とする研究者がばく露条件に、また医学・生物学の研究者が生体影響の評価に十分な注意を払って実施した。したがって、研究の質、精度は従来の研究に比べて十分に高いものである」(209頁)とも記載されています。これら「公正かつ中立的」および「研究の質、精度は従来の研究に比べて十分に高い」という評価は、本委員会による本委員会についての自己評価という理解でよろしいでしょうか? お答えをお願いします。
 また、「公正かつ中立的」「研究の質、精度は従来の研究に比べて十分に高い」と評価した根拠を、私たち市民にも理解できるよう具体的にお示し下さい。

 2.本委員会の各委員について、その利害関係(過去から現在における、電気通信事業界に在籍した経歴、電気通信事業者からの研究費・寄付等の収受、電気通信事業者との各種契約の履歴等について、それぞれの有無や、有る場合の内容・金額)についてお示しください。
 これまでに問題になった例を示せば、インフルエンザ治療薬「タミフル」の副作用を調べている厚生労働省研究班長に、タミフルの輸入販売元から研究資金が渡っていたこと等が問題になったことがございますので、本委員会についても重要と存じます。

 3.本報告書には「熱作用の生じないレベルの電波によるばく露が、健康に悪影響を及ぼすことはなく、電波防護指針を満たすことにより、健康への悪影響は生じないというこれまでの見解が強く支持された。」(209頁)と記載されています。この「見解」とは、本委員会による「見解」という理解でよろしいでしょうか。

 4.本報告書には「第6章 結論」の中で「電波防護指針を超えない強さの電波であっても、長期間ばく露されると健康に好ましくない影響を及ぼす、いわゆる蓄積効果があるのではないかと懸念を示す方がいる。(略)そのような作用の存在は、検証実験で再現されておらず、健康への悪影響の証拠として認められていない」(210頁)と記載されています。また、本報告書の「要旨」(総務省のウェブサイトhttp://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070326_2.html)には、電波の長期間ばく露の影響について「脳腫瘍の発生に及ぼす影響は認められないことを確認した」と、記載されています。
 その一方で、本報告書には「聴神経鞘腫に関する(略)携帯電話端末使用による(略)特に10年以上の長期使用者で発症リスクの増加を認めたとするスウェーデンからの報告は無視できない」(42頁)とも記載されています。
 また、本報告書の参考資料3・WHO「科学的に不確実な分野における公衆衛生政策のオプションを導くための枠組み」にも「過去10年間に、携帯電話の利用は劇的に増加した。つまり約10年以上ばく露されている人は、ほとんどいない。入手可能な証拠は、携帯電話の利用による重大な健康リスクが確認されていないという事を概ね再保証している。しかし、より多くの人々がより長期間それらを利用するまでは、論理的には重大な健康問題の可能性を排除できない」(292頁)と記載されています。
 「無視できない」研究報告が存在し、「重大な健康問題の可能性を排除できない」とも指摘されているのに、本報告書の結論としては長期曝露による健康影響ついて否定的な記載のみを行い、また、本報告書に先駆けて公表され多くの人々の目に触れやすい「要旨」では聴神経鞘腫等に一切触れずに「脳腫瘍の発生に及ぼす影響は認められないことを確認した」と記載した理由について、お示しください。

 5.本報告書の「要旨」の「別紙」の「(3)電磁過敏症について」には「2)間違った情報の氾濫を防ぐため、科学的根拠に基づいた正しい情報の周知広報の強化が必要である。」と記載されています。この「間違った情報」および「科学的根拠に基づいた正しい情報」について、本報告書の本文における対応箇所が明らかではありません。つきましては、「間違った情報」および「科学的根拠に基づいた正しい情報」について、それぞれ具体的な内容をお示し下さい。

 6.一般論として、ある病気について研究するためには、その実態について知ることが特に重要だと私たちは考えます。国内外において、電磁波過敏症の診療や研究に携わり、知見を蓄積している医師の方々がいらっしゃいます。こうした医師の方々に本委員会による研究へ加わっていただいたり、または、本委員会がこうした医師の方々に対して情報提供等の協力を依頼した等の経緯の有無と、その理由についてお示しください。

 7.本報告書137頁に記載の「RELEXプロジェクトで陽性効果として報告された、低出力(SARは1.3、1.6及び2.0W/kg)電波ばく露による細胞の小核頻度上昇に関して、予備な検証実験」について、この実験を担当した研究者はどなたであるのか、お教えください。また、この研究について論文が発表されていれば、その論文をお示しください。

 8.本報告書は「我が国における電波に関するリスクコミュニケーションの取り組みとしては、総務省が主催している行政及び専門家から国民や事業者に向けた電波が人体へ与える影響に関する講演会などが挙げられる」(212頁)としています。
 「リスクコミュニケーション」という用語は、「環境リスクなどの(略)情報を、市民、産業、行政等のすべてのものが共有し、意見交換などを通じて意思疎通と相互理解を図ることをいいます」と環境省のウェブサイト(http://www.env.go.jp/chemi/communication/9.html)には示されています。本報告書に記載されている「行政及び専門家から国民や事業者に向けた」講演や、「情報について、広く国民に提供」するという、情報を一方的に伝える「周知広報活動」についても、「リスクコミュニケーション」というのでしょうか。貴職のご見解をお示しください。
 念のために付言すれば、各地で開催されている「総務省が主催している電磁波が人体に与える影響に関する講演会」では、その時間の大部分が本委員会から派遣された講師などによる講演に費やされ、本委員会や総務省の見解とは異なる立場からの報告や問題提起、討論等は行われず、参加者からの質疑応答も短時間に限られていたものと、私どもは承知いたしております。

 9.本委員会の目的であった「電波による人体の障害に関し、国民の不安を解消し安全で安心な電波利用社会を構築するため、電波の生体安全性評価に関する研究を医学的及び工学的視点から総合的に推進することを目的とする」(同委員会開催要綱)を実現するためには、本委員会における審議経過等が、市民の目から見て透明度の高い、開かれた委員会であることが重要であると、私たちは考えます。本委員会は開かれた委員会であったとお考えでしょうか。その根拠とともにご見解をお示しください。

以上

(提出者・五十音順・代表者名略)
OFFで子どもを守る会(福岡県宗像市)
OFF電磁波ささぐりの会(福岡県篠栗町)
ガウスネット(電磁波問題全国ネットワーク)(東京都)
化学物質問題市民研究会(東京都)
久留米電磁波公害を考える会(福岡県)
携帯電話基地局建設反対住民の会(福岡県久留米市)
携帯電話楡木中継鉄塔建設に反対する会(熊本市)
子どもを電磁波から守る会(大分市)
新東京タワー(すみだタワー)を考える会(東京都)
託麻西小に近接するソフトバンク基地局の撤去を求める会(熊本市)
託麻の環境を守る会(熊本市)
中継塔問題を考える九州ネットワーク
電磁波・環境関西の会(奈良市)
電磁波と健康を考える会・みやぎ
電磁波について勉強する会(熊本市大江)
電磁波問題市民研究会(千葉県船橋市)
特定非営利活動法人市民科学研究室(東京都)
特定非営利活動法人日本消費者連盟(東京都)
ドコモ基地局移転要望の会(久留米市)
VOC-電磁波対策研究会(札幌市)
別府の住環境と子供の未来を守る会(大分県別府市)

(連絡先・略)
 

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