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 墨田区長あて質問状(第4回)


 新東京タワー(すみだタワー)を考える会は2007年10月11日、新東京タワーによる電子機器への障害の恐れ、情報公開のあり方、および環境アセスメント案について、公開質問状を提出しました。


2007年10月11日

墨田区長
山ア 昇 様

新東京タワー(すみだタワー)に係る公開質問状(第4回)

新東京タワー(すみだタワー)を考える会
共同代表 大久保 貞利      
同    網代 太郎      

平素より、住民の健康増進にご尽力いただき、ありがとうございます。
 新東京タワーについて、質問させていただきます。お忙しい中、恐縮ですが、2007年11月11日までに文書でご回答いただきますよう、お願い申し上げます。

1.電磁干渉について
 私どもが2007年4月11日付け貴職あて前回質問状で申し上げました通り、新東京タワーの「最終候補地」が墨田区に決まる以前の2001年、秋葉原の都有地を含む地区に新タワーを建設する構想が浮上しましたが、唐津一・東海大学教授(当時)が指摘した電磁干渉の恐れを理由の一つとして、東京都は新タワー建設に協力することは困難との結論を出しました。唐津教授によると、新タワーからの電波により「感度のよい受信機や各種の精密機器、特に微妙な測定器に妨害が入って使えなくなる」とのことであり、また、NHKによる実験でもその可能性が確認されたと唐津教授が報告していることについても、前回申し上げました。
 前回質問書ではこの件につき、墨田区によってNHKに対してこの実験結果の開示を求めるよう要望しました。しかし、貴職は5月23日付の回答において、NHKへ開示は求めず、「電磁干渉に関しては、新タワーの安全性に関することとして、できるかぎりの説明を事業者に求めていきたいと考えております」とご回答されました。
 今般、新東京タワー事業(業平橋押上地区開発事業)についての環境影響評価書案が公表されました。この評価書案には、電磁干渉についての記載がなく、また、私どもの知る限り、事業者が電磁干渉に関して住民等に「できるかぎりの説明」を行った形跡はございません。
 そこで、以下の通りご質問申し上げます。
1−1.貴職は事業者に対して電磁干渉について「できるかぎりの説明」を求めましたか? 求めた場合は、いつどのような場で、だれに求めましたか? 求めなかった場合は、その理由は何でしょうか? 以上について、それぞれ詳しくお示し下さい。
1−2.1−1で事業者から回答があった場合、それはどのような内容でしたか? その内容について、それを貴職はどう評価されましたか? それぞれ詳しくお示しください。
1−3.1−1で事業者から回答がない場合、貴職はそのことについてどのように受けとめていらっしゃるか、ご見解をお示しください。

2.情報公開について
 前回質問書で「新東京タワーについて、市民に情報が示され、市民から意見を聞く機会がほとんどありません」と申し上げ、情報開示のあり方の改善を求めました。これに対して「区として、できる限り区民の皆さんに新タワーに関する情報が伝わるように取り組んでいきたいと考えます」とのご回答をいただきました。この点につき、その後これまでに区として具体的にどのような取り組みをされたのか、お示しください。

3.環境影響評価書案について
 開示された環境影響評価書案では、新東京タワーからの電波送信によってもたらされる、周辺地域における電磁波上昇レベルの予測値が示され、それらは国の「電波防護指針」を基に、異なる複数の周波数を送信する場合の「電波防護のための基準への適合確認の手引き」により算出される各周波数の「電力束密度÷基準値」の和が「1」を下回っているため「地域住民の日常生活に影響を及ぼすことはないものと考える」と述べられています。
 しかし、電波防護指針を下回るような「弱い」電磁波の長期曝露と健康影響との因果関係は証明されていないものの、その疑いを示すさまざまな研究報告があり、「影響を及ぼすことはない」と言うことは適切ではないと考えます。
 世界保健機関(WHO)の国際電磁界プロジェクトは、超低周波電磁波についての環境保健基準を今年発表しましたが、高周波(新タワーからの電波は高周波です)についての環境保健基準は来年以降発表する予定です。つまりWHOは高周波の健康影響について現在検討中であり、電波防護指針レベルより弱い高周波電磁波について安全であるとの結論は出していません。
 「弱い」電磁波の長期曝露による健康影響の疑いが否定し得ないことから、いくつかの海外の国や自治体は、予防原則の考え方等から、国際指針値や日本の電波防護指針に比べて、格段に厳しい基準値を設けています。
 環境影響評価書案に示された新東京タワーからの電波の予測値によると、こうした海外の国や自治体の基準値を超える強さであり、これらの国や自治体であれば許可されないであろう強さの電波を、新タワーは送信することになります(図表省略)。
 また、環境影響評価書案は、総務省「生体電磁環境研究推進委員会報告書」(本年4月)において「現時点では電波防護指針を超えない強さの電波より、非熱効果を含めて健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められないと考える」との見解を出したことを紹介しています。
 しかし同委員会は、携帯電話事業者から研究資金を得ている研究者や、携帯電話など電気通信業界関係者、行政関係者でメンバーの大半が占められており、中立公正な立場とは言えないことが批判されています。インフルエンザ治療薬タミフルの安全性について検討する厚生労働省研究班の班長が、タミフルの輸入業者から研究資金を得ていたことが問題となり、この班長が研究班から外された経緯がありますが、電磁波と健康影響について研究する同委員会も、これと同様の問題点が指摘されているのです。
 また、同委員会は活動した10年間の全期間にわたって、実際の業務を「財団法人テレコム先端技術研究支援センター」に委託しました(紙智子参議院議員による質問趣意書への答弁書による)が、同センターは研究組織ではなく、携帯電話など電気通信業者が理事の大部分を占めており、この点からも、同委員会が中立公正でないという重大な疑義が生じています。
 同委員会の報告書自体も、実際に電磁波過敏症の診療や研究に取り組んでいる医師等への調査を実施しないまま電磁波過敏症を否定する内容としたり、論文になっておらず第三者からチェックを受けていない研究結果を掲載するなど、中立公正さや研究の質について疑義があります。
 住民の健康を守るべき自治体の立場としては、その政策を判断する際に、このような問題が多い「生体電磁環境研究推進委員会報告書」に基づくべきではないと私たちは考えます。
 さて、新東京タワーはテレビの地上波デジタル放送(地デジ)を送信するための電波塔だと説明されていますが、環境影響評価書案によると、地デジ以外にMCAや携帯電話の電波も送信することになっています。全国各地で、携帯電話事業者が住民に十分な説明をしないまま携帯電話基地局を設置し、住民と紛争になるケースが多発しています。この新東京タワーにおいても、MCAや携帯電話の電波送信については事業者によって何も説明されておらず、事業者として誠実な態度とは言えません。新タワーが建設されれば、事業者が収入増加のために住民の不安を無視して新タワーから送信する電波を増やしていき、住民が被るリスクが増大し続ける可能性が大きいものと考えられます。
 電磁波による問題のうち、健康影響以外については、本質問状の1でも示した電磁干渉があります。「電波防護指針」を下回るような「弱い」電磁波による健康影響については議論が分かれていますが、電磁干渉が起こることについては異論がありません。新東京タワー(すみだタワー)と同目的・同規模の秋葉原タワーが構想された当時に専門家が指摘した電磁干渉の恐れについて、環境影響評価書案は評価しておらず、この点だけを見ても環境影響評価書案は不十分であると言えます。
 以上のような問題点について見過ごし、住民に不安を与えたまま新東京タワーを着工することは、住民の健康増進を図り、その生活を守るべき墨田区がとる施策として適切ではないと私たちは考えます。新東京タワー事業について中止を求めるか、もしくは、電磁波問題等を慎重に検討するために、新東京タワー事業のスケジュールの見直し、または凍結等を求めるべきだと考えます。
 この点について、貴職はどのようにお考えでしょうか? 私どもが本質問状で示させていただいた、高周波電磁波による健康影響の疑いの問題も含めて、貴職のご見解をお示しください。

以上

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