トップ > 活動記録 > 提出文書 > 秋葉原タワー直下における電子機器への妨害実験
 秋葉原タワー直下における電子機器への妨害実験

(2009年11月17日掲載)

 新東京タワーの建設場所が決まる前の2001年2月2日に『読売新聞』が「NHKと民放キー局5社は(略)、JR秋葉原駅(東京都千代田区)近くの都有地などに高さ600メートル級の世界最大規模の電波塔を作る『秋葉原タワー』案を採用することで、技術的な合意に達し、最終調整に入った」と報道しました。同月23日の記者会見で、フジテレビの日枝久社長が「航空法や環境問題などから選ぶと秋葉原の都有地が有力だ」(『産経新聞』2001年2月24日)と発言しました。
 当時JR秋葉原駅周辺では、旧国鉄の秋葉原駅貨物駅跡地や都の神田市場跡地を中心とした約24haの地区で、土地区画整理事業が進められていました。都が所有する土地があり、羽田空港への航空進入路に影響を与えず、東京タワーから近いので受信アンテナの向きを変える数が少なくて済むことなどから、テレビ各社が秋葉原に目をつけたようです。
 地元の「秋葉原再開発協議会」は、この動きを歓迎し、新タワー誘致を決めました。
 秋葉原タワー構想について、石原慎太郎都知事は当初は「タワーは秋葉原の新しい名所になる」と前向きでした(『日刊建設工業新聞』2001年2月5日)。
 しかし結局、東京都は「秋葉原地区におけるテレビ塔については、多くの問題があり、建設に協力することは困難である」との結論を出しました。秋葉原タワー誘致を決めた地元は猛反発しましたが、都はその理由を、概ね次のように説明しています(東京都産業労働局「地上テレビジョンのデジタル化に伴うテレビ塔について」2001年5月15日)。
 (1)秋葉原地区はIT関連産業の拠点として整備が進められているが、テレビ塔を建設する場合には、これまでの計画の全面的な見直しが必要となり、相当な期間を要する。
 (2)NHK技術研究所の「秋葉原タワーの直下における電子機器への妨害実験」の結果によれば、高感度の受信機では、ノイズ等が発生する懸念があり、この検証が必要。
 (3)JR秋葉原駅の改修、テレビ塔専用駐車場の整備等、混雑解消のための都市基盤整備が必要となるが、その財源確保の見通しが現時点ではない。
 電子機器へのノイズなどの障害については、東京都参与(都政の様々な課題について専門的な立場から知事に助言・進言を行う非常勤の特別職。「都政について高い識見を有する者」のうちから、知事が選任)で元松下通信工業常務の唐津一・東海大学教授(当時。その後、名誉教授)が指摘したことから、論点になりました。唐津教授は、新聞に次のように寄稿しました(『電波新聞』2001年5月15日)。

 秋葉原の頭の上でデジタル放送の電波をばらまかれると、その真下では感度のよい受信機や各種の精密機器、特に微妙な測定器に妨害が入って使えなくなることが目に見えるのである。
 そこで早速、東京タワーの真下に受信機を持っていって、スイッチを入れてみたら物凄いバズ音(ノイズ)でまるで使い物にならない。その後、NHKでキチンとデジタル電波を出したときのシミュレーションをして測定してもらったら、やはり高感度の受信機ではノイズで全く受信不能という場合がでてきた。
 しかもNHKではこの実験現場のビデオまで、撮影して皆に説明してくれた。(略)
 秋葉原タワーの計画は絶対止めてもらいたい。

 そこで、当会共同代表の網代はNHKに対して、この実験について情報公開を請求しましたが、「(実験は)在京民放5社とNHKで構成するプロジェクトで実施したものです。この実験内容および結果を示す資料につきましては、開示した場合、当該在京民放5社およびNHKの今後の事業活動に支障を及ぼすおそれがあるため、NHK情報公開規定第8条第1項第1号および第4号に定める不開示情報に該当し、開示することができません」(NHK「文書不開示のご連絡」2007年3月20日)という、公開拒否の回答が送付されてきました。
 この不開示決定についての再検討を「NHK情報公開・個人情報保護審議委員会」へ求めたところ、1年以上経過してから、ようやく結論が出て、情報が開示されました。公開された実験結果は、「新タワーからの送信電波を想定した110dBμv/mでは電子機器に対する影響はなく 、それよりも強い120dBμv/mでは影響が出た」というものでした。

NHK情報公開・個人情報保護審査委員会による開示決定、開示文書、及びNHKによる補足説明

 開示された実験結果に基づいて、改めて唐津名誉教授に話を聞いたところ「電波というのは一定したものではなく、常に誤差やノイズが発生するものであり、それらによる影響も含めて、電子機器への影響はあるという実験結果だった」とおっしゃっていました。
 同じ実験についてであるにもかかわらず、結局、NHKによる評価と、唐津名誉教授による評価は、食い違ったままでした。
 東京スカイツリーによる影響は、結局のところ、出来てみないと分からないということでしょうか。
 それにしても「影響がない」という結果なのであれば、なぜNHKは一度非開示決定を行ったのか、理解に苦しみます。

このページの最初へ