トップ > なぜ新タワー?(2008年8月30日更新)

 新タワーの概要


関東一円にテレビなどの電波を発信している現在の東京タワー(東京都港区)に替わる新たなテレビ電波塔として建設されようとしているのが、新東京タワー(東京スカイツリー。勝手に略して東スカ)。
高さは約610mで、現在高さ世界一の電波塔であるカナダの「CNタワー」(高さ553m)を上回り、「高さ世界一になる」と、墨田区や事業者は宣伝してきた。
※しかし、2008年にアラブ首長国連邦で、高さ808mのタワービル「ドバイ・ブルジ・タワー」が完成予定なので「世界一」ではなく、墨田区や事業者は市民に対して事実ではない説明をしている。また、クウェートでは高さ1001mのビル建設構想もある。ただし、対象を電波塔に絞れば、中国の広州(2009年完成予定)と、米国のシカゴで、それぞれ610mのタワーが建設されるといい、東スカも約610mなので、「同点で1位」になるのか?
事業者は、東武鉄道の子会社「東武タワースカイツリー株式会社」(勝手に略して東スカ社)。同社は、2006年5月、東武鉄道の100%出資により、資本金4億円で設立された(当初の社名は「新東京タワー株式会社」)。東スカ社が新タワーを建設し、資産として保有し、経営主体になる。新タワーの周辺に建設される商業・事務所ビルなどの整備については、親会社の東武鉄道も事業者として参画している。
新タワーからテレビ電波を送出する放送事業者(在京テレビ各社)は、建設費を負担しない。大家である東スカ社に、店子である放送事業者が賃借料を支払う。
完成後は、新タワーの電波送信施設を使用する放送事業者からの賃貸料収入と、観光客の入場料収入との2本柱により、東スカ社が経営を行う。同社によると、近年における東京タワーの入場者数(年間約270万人)と同程度の入場者数を30年平均で確保できれば、賃貸料収入と合わせて、経営的に成り立つという。

 新東京タワーは不要


事業者は「デジタル電波による安定した美しい映像を、関東一円に届けるために、従来よりも高いテレビ塔が必要になりました」(東武鉄道、新東京タワー株式会社(当時)による2006年11月付パンフレット)と説明してきた。墨田区も同様の説明をしてきた。
しかし、現在の東京タワー(高さ333m)から、既に地上デジタルテレビの電波を送信している。総務省も「地上デジタル放送は、現在の東京タワーでも問題ない」旨明言している。つまり、墨田区や事業者は市民に対して事実ではない説明をしている
ケーブルテレビの普及が進んでおり、自主放送を行うケーブルテレビの普及率は東京都、千葉県内で50%を超え、埼玉、神奈川県でも50%に迫っている。ケーブルテレビのほか、光ケーブル経由の放送サービスも始まっている。電波で視聴する世帯が減っていく中、新タワーを建てるのは大変な無駄。
石原慎太郎・都知事も記者会見で、新タワーは不要との考えを表明。
放送事業者からの賃貸収入を新タワーに奪われる形の現東京タワーは、今後の経営について危機感を持っている。テレビ各社は、現タワーの経営に責任を持っていないから、あっさりと新タワーへ移れる。新タワーにとっても「明日は我が身」?

 新タワーの本当の目的

放送事業者にとって、現在のタワーよりも高い新タワーを建てるメリットは、地上デジタル放送のうち、携帯電話などの移動体向けサービスである「ワンセグ」放送が受信可能なエリアを拡大できることだけである。高い位置から電波を送出すれば、ビル陰の影響を小さくできて、その分、受信エリアを拡大できる。ビル陰の影響をなくす方法は他にもあるが、高いタワーを建てさせれば放送事業者は出費や手間を大幅に削減できる。
ただし、放送事業者にとっても、新タワーは「必要不可欠」なものではない。「条件が良ければ新タワーに移ってあげても良い」という姿勢。
墨田区は「タワーを建てれば大勢の観光客が来て経済的に潤う」としているが、実際の経済的効果は(負の経済効果も含めて)どの程度か、また、経済的に潤うとしてもだれが潤うのか…などの説明は行っていない。“施設を作ればきっと良いことがある”と市民へ喧伝しながら、とにかく建ててしまえ(建てること自体が目的)という旧来型の“ハコモノ行政”と同じ発想である。
 
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